シナリオ

霧に愚者は踊る改変ヘタリア二次創作シナリオ

霧に愚者は踊る改変ヘタリア二次創作シナリオ

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これはあずま様作シナリオ「霧に愚者は踊る」を元に、Axis powers ヘタリアの世界観と登場人物であるイギリスをNPCとして登場させた二次創作シナリオです。
あずま様作シナリオ「霧に愚者は踊る」のネタバレを含みます。

★利用規約について
このシナリオを使用する場合、以下の規約について目を通してください。
・使用する際は、シナリオ製作元として「あずま」の名前を必ず記載してください。
・自作発言、無断転載、二次配布を禁止とします。
・シナリオに登場する、NPCの必要以上の情報、神話生物、ギミックに関してのSNS(特にtwitterの鍵なしアカウント)を使用したネタバレを禁止します。これに関する話をする場合は、スカイプ、プライベッター等にして、不用意に第三者が見ることがないよう配慮をお願いします。
・ニコニコ動画などでリプレイ動画を作成する、ログを公開することは可能です。ただし、視聴者読者に対して、SNSを使用したネタバレを禁止する一文を必ず入れてください。
・遊ぶ際の改変は自由にどうぞ。
・このシナリオは、特に連絡もなく無料公開を終えることがあります。

【CoCシナリオ】霧に愚者は踊る

上記あずま様利用規約遵守の上、以下内容をよくお読みください。

  • 当然ですが、色んなもんと特に関係ありません。
  • どどんとふなどでのイラスト使用は一向に構いませんが、イラストの各権利は放棄しておりません。
  • イラスト、テキストの無断転載を禁じます。
  • こんなのイギリスじゃない?1D10/1D100のSAN値チェックをどうぞ。

シナリオの概要

イギリス、セント・ジョンズ・ウッドの10月のある日。
探索者は、その日友人リック・フォースターの母であるブリジット・フォースターに呼ばれ、フォースター家を訪れていた。
そのブリジットから聞かされたのは、リックの失踪。
妻マーシャを失って以来ずっと塞ぎこんでいた所、ようやく元気になったと思ったら今度は行方知れずになってしまったのだという。
探索者は、ブリジットよりリックの捜索を頼まれ、彼を探すことになる。

舞台10月 イギリス
推奨人数3〜4人
セッション時間7~12時間
必須技能<英語><目星><聞き耳><戦闘技能>
推奨技能<図書館><回避>
事前の準備NPCのリックとPLは友人関係である必要がある。
また、国という存在のことは全く知らない探索者を作成すること。

ロンドン、セント・ジョンズ・ウッド

セント・ジョンズ・ウッドのマップ
セント・ジョンズ・ウッドのマップ
  • ロンドンの10月なので、16時には外が暗くなる。また、24時間営業のスーパーや、夜に営業しているパブなど以外は17時に閉店している。
  • ロンドン市内を走る電車の最終は概ね0時、24時間ナイトバスも走っているが、女性一人では危険。
  • セント・ジョンズ・ウッドは閑静な高級住宅街です。日本人も多く住む地域のようです。
  • イギリスは日本以上に銃規制が厳しく、警察も銃を所持しておりません。でもL85A2の所持は特別に認めてあげたくなる。

マップの各施設

フォースター家(Forster's house)実在はしません。
メアリー教会(Mary Church)実在はしません。
セント・ジョンズ・ウッド駅
(St John's Wood Station)
ロンドン地下鉄の駅、チューブは乗る鉛筆だ。
ベイカー・ストリート駅とスイス・コテージ駅の間にあります。日本のSuicaやPASMOのようにチャージができるOyster(オイスター・カード)で乗るのが主流。
セント・ジョンズ・ウッド・ハイ・ストリート
(St John's Wood High St)
所謂、商店街。ブランドショップがあったりなどお洒落です。
セント・ジョンズ・ウッド・ライブラリー
(St Johns Wood Library)
図書館。最近は日本の漫画も多く取り揃えているようです。
ローズ・クリケットグラウンド
(Lord's Cricket Ground)
目立つ施設だったから描いただけで、行っても何も無し。負けたら首を撥ねられる。
セント・ジョン&セント・エリザベス病院
(Hospital of Saint John and Saint Elizabeth)
病院。日本人医師が常駐しているようです。
ウェリントン病院(Wellington Hospital)病院。
アビーロード(Abbey Rd)ビートルズで有名なとこ。

タイムライン

7月初週リックがマーシャと結婚する
8月交通事故でマーシャが死亡する。
1週間後に葬儀
14日前Aとチャットをする。
12日前リックの元にAから食屍鬼写本と食屍鬼教典儀のコピーが届く。
書籍の研究を始める。
8日前夜に出歩くようになる。墓地の地図の書き込み1。
7日前墓地の地図の書き込み2、食屍鬼をリックが目撃する。
5日前墓地の地図の書き込み3、墓を荒らす食屍鬼を目撃する。
4日前食屍鬼についてAに相談。リックの呪いが発動する。
3日前Aからの2通目のメール着信日。
2日前朝方、Aから2つ目の荷物が届く。シーツを被ったリックをブリジットが目撃。夜にリックが失踪。
1日前
10月 14:00導入
15:00探索開始
スーザンがブリジットに来客のためお茶の用意を頼む。
18:00イギリス訪問
18:30イギリス、フォースター家を去る。
夕食開始。
19:00
20:00夕食終了。
翌日イギリスがフォースター家を探索
15:00図書館閉館
16時
以降
リック生還条件を満たしていない場合、リックが屍肉を口にする。
夜間雑木林でのイベント発生時間。

人物について

アーサー・カークランド

アーサー
年齢23性別職業
STR:10CON:11POW:18DEX:13
APP:12SIZ:13INT:17EDU:20
SAN:90アイデア:85幸運:90知識:99
HP:12MP:70回避:56db:0
技能
言いくるめ80医学65オカルト75聞き耳85
経理40心理学70精神分析61図書館60
母国語99目星60----
持ち物
ワルサーPPマガジン(8発)財布スマホ
攻撃
キック55%ダメージ1D6+db
拳銃60%ダメージ1D8
呪文
姿現わし(Apparition)/姿くらまし(Disapparition)各7MP(計14MP)

イギリスのステータス、一部設定はあやもり様作KY卓シリーズの設定を参考にさせていただいております。

  • 正体はグレートブリテン及びアイルランド連合王国(the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)そのもの。
  • 探索者にはアーサー・カークランドと名乗り、正体を隠す。年齢は答えるが(鯖は読むかもしれない)、職業ははぐらかしたり嘘をつくなどして明かさない。
  • 自国対象に限り<芸術:英国伝統品(料理除く)><考古学><人類学><生物学><天文学><博物学><法律><歴史><ナビゲート>90%になるようボーナス。
  • 自国民に対してのみ<信用>+30%
  • 銃火器全般に+20%のボーナス
  • 耐久力0でも死亡なし
  • ニャルラトホテプには1930年代頃に出会ったことがあり、漠然とどういうものなのかは理解している。
  • 探索者たちに対し、巻き込みたくないので「関わるな」と冷たく接する。
  • 銃と弾倉はショルダーホルスターに収納している。
  • 特定の場所から姿を消し、その後別の場所に出現する魔法。(出典:ハリー・●ッター)である。難易度の高い術で、イギリスも久しぶりに使うので、遠くへ移動することはできない。計14MPの消費と唱えるのに1R必要。
  • スーザンとの関係、出会いを聞かれた場合、スーザンが通っているケアセンターで知り合ったと話す。 
  • ミスリード情報であるブラックドッグ、バーゲストの仕業でないことは本人?たちに直接聞いている。

拳銃データ

ワルサーPP
ワルサーPP(32口径)
ダメージ1Rの攻撃回数基本射程装弾数耐久力故障ナンバー弾薬
1D8315m8+1発898.32ACP弾(7.65mm×17)

何でワルサーPPなのか?→かっこよかったから。

ブリジット・フォースター

年齢52性別職業-
-STR:9CON:8POW:15DEX:9
APP:13SIZ:10INT:14EDU:15
SAN:75アイデア:70幸運:75知識:75
HP:10MP:15回避:18db:0
  • リックの母親
  • リックの行方追求を探索者に依頼するが、いい年をした息子が数日家を空けただけで心配しすぎかとも考えている。
  • 食屍鬼写本の呪いが容姿に現れることに関して、リックに変化がなかったか尋ねると、Aから届いた2つ目の荷物を渡す際に、シーツを頭から被り顔を見せてくれなかったと答える。
  • 夫はリックが幼い頃に亡くなり、女手一つで息子を育ててきた。
  • 5〜9歳の時にイギリスと顔を合わせてはいるのだが、両親に比べ接する機会は少なく、「初めて会った気がしない」と思うだけで記憶にはない。

リック(リチャード)・フォースター

年齢25性別職業ホラー小説家
STR:16CON:13POW:12DEX:10
APP:6SIZ:12INT:14EDU:18
SAN:10アイデア:70幸運:60知識:90
HP:12MP:12回避:20db:+1D4
攻撃
かぎ爪20%ダメージ1D6+db
噛みつき20%ダメージ1D3+牙でいたぶる(1D4)
呪文
復活モルディギアンの招来
防具・装甲火器と飛び道具はダメージが半分しか通らない(端数切り上げ)正気度喪失1/1D6+1
  • 攻撃の詳細は食屍鬼参照。
  • リックは発狂状態で襲いかかってくるため、対象は無差別基本回避はしない
  • 探索者の希望で<精神分析>を行った場合は正気に戻る。ただし、精神分析を行うためには、<組みつき>の成功、精神分析を行う時間の余裕がなければならない。
  • 正気に戻ったリックは呪文を覚えているため、「納骨堂の神の招来」を唱えることも可能。
  • もし、探索者が復活の呪文を所持しており、リックを蘇らせた場合は永久的発狂状態で蘇り、姿を消してしまう。
  • 探索者たちの友人であり、妻のマーシャとも探索者たちが交友関係にあるかは探索者たちの好きにしていい。
  • 早くに父を失い、母のブリジットと二人で生活してきた。
  • 穏やかで情の厚い性格をしており、しかし最愛の妻を失い道を間違え、呪いを受けることになってしまった。

スーザン・フォースター

スーザン
年齢75性別職業-
STR:7CON:6POW:14DEX:6
APP:12SIZ:9INT:14EDU:18
SAN:70アイデア:70幸運:70知識:90
HP:8MP:14回避:12db:-1D4
  • ブリジットの母親、リックの祖母
  • 28歳から32歳までの4年間、イギリスと交流があった。
  • 夫が昔軍に所属しており、その関係でイギリスと知り合った。最初は国の化身だとは知らず、お説教をはじめてしまったのがきっかけ。
  • 夫の名前はヘンリー・フォースター。愛称はハンク。3年前に亡くなっている。
  • アーサーのことを尋ねても「あの人が何も言わないのだったら、わたしがからは何も言えない」「悪い人ということは絶対にない」「誰よりもわたしたちのことを思ってくれてる」としか答えない。
  • イギリスから連絡を貰い、リックの捜索をお願いする。イギリスからは「リチャードがいなくなったのは良くないことに巻き込まれたからだ。」とだけ告げられる。

イェッタ・ホプナール

イエッタ
年齢29性別APP18SIZ13
  • 名前(Yeta Hopnarl)はNyarlathotepのアナグラムである。正体はニャルラトホテプ。
  • リックとは1年近く前からネット上でやり取りをしており、リックの小説のファンと名乗る。
  • ネット上では「A」というHNを使用しており、イギリスの口調や性格を真似ているが、感情の起伏は本人より激しくない。リックのことも心配しているのかわからない素振りを見せ、突き放すような印象を受ける。
  • 死者を蘇らせる力を手に入れたリックがどんな行動を起こすのかと好奇心を起こす。
  • また探索者たちにイギリスへと猜疑心がいくように仕向け、その反応を楽しんでいる。
  • 国の化身自身には興味がないが、禁忌を冒してまでも死に抗う人間、自身の子とも言える国民とどう関わるのかと下卑た楽しみ方をしている。
  • EDでは、スーツを着こなす深い闇のような瞳が印象的な男性として登場する。

食屍鬼(3匹共通)

食屍鬼
STR:17CON:14POW:11DEX:11
APP:0SIZ:12INT:13EDU:13
SAN:アイデア:65幸運:55知識:65
HP:13MP:11回避:22db:+1D4
攻撃
かぎ爪20%ダメージ1D6+db
噛みつき20%ダメージ1D3+牙でいたぶる(1D4)
防具・装甲火器と飛び道具はダメージが半分しか通らない(端数切り上げ)正気度喪失0/1D6
  • 1R中にかぎ爪攻撃を2回、噛み付き攻撃を1回計3回行うことができる。
  • 噛み付きが成功した場合、次のラウンドからかぎ爪攻撃は行わず、犠牲者に牙で1D4のダメージを毎R与える。
  • 噛み付きから逃れるにはSTR対抗ロールを行う。

食屍鬼(神官)

神官
STR:15CON:14POW:15DEX:9
APP:0SIZ:11INT:13EDU:14
SAN:アイデア:65幸運:75知識:65
HP:13MP:15回避:18db:+1D4
攻撃
かぎ爪20%ダメージ1D6+db
噛みつき20%ダメージ1D3+牙でいたぶる(1D4)
呪文
恐怖の注入12MPと1D6の正気度喪失0/1D6の正気度喪失
防具・装甲火器と飛び道具はダメージが半分しか通らない(端数切り上げ)正気度喪失0/1D6
  • 頭巾のついた豪華な深い紫色のローブを羽織り、銀の頭蓋骨のような仮面で顔を覆っている。
  • 死者の復活の呪文を所持しているリックを誤って仲間に率いれてしまい、リックを殺して神の怒りを買わぬよう躍起になっている。
  • 恐怖の注入:12ポイントのMPコストが掛かる。

モルディギアン-納骨堂の神-

正気度喪失1D8/1D20

探索者、正気のリック・フォースターに呼び出された場合、食屍鬼(リック含む)を飲み込み去っていく。

導入

フォースター家の内装
  • イギリス含む欧州諸国では1Fを0F(Ground floor)と呼びます。地図上ではイギリス表記にしてありますが、セッション中は日本基準の進行で構いません。
  • リビング…0F左下
  • リックの部屋…1F右下
  • ブリジットの部屋…1F左下
  • スーザンの部屋…0F右下
  • コンサバトリー(ガラスで囲まれたガーデンルーム)…0F右
  • 後は浅い知識でとりあえず書き足したゲストルームなど

10月のある土曜日、日に日に寒くなっていき日照時間も短くなる中、珍しくロンドンのセント・ジョンズ・ウッドには日が差していた。時刻は午後2時。探索者たちは友人であるリック・フォースターが行方不明になったとの報せを彼の母親から受け、フォースター家の前にいた。

リック・フォースター――オカルト作家である彼は7月に長年付き合っていたマーシャ・パッカーと結婚をし、幸せの絶頂を迎えていた。探索者たちも結婚式に招待されたため、二人の幸せそうな顔を目にしている。しかしそれも長くは続かず、結婚から1ヶ月も経たないうちにマーシャは不慮の事故により亡くなってしまったのだ。その後のリックの落ち込み様は酷いもので、探索者たちも何度も連絡を取ろうと試みていたところの報せだった。

閑静な住宅の呼び鈴を鳴らすと、程なくしてシックなワンピースに身を包んだ上品な初老の女性が現れた。リックの母親、ブリジット・フォースターである。
彼女は微笑み探索者たちを迎え入れる。

ブリジット「ようこそ。急にお呼びたてしてごめんなさいね。どうぞ、上がってちょうだい。」

ブリジットは探索者たちをリビングに案内し、紅茶を淹れると腰を落ち着かせる。
今日の天気や近況などのたわいない会話を終えると、沈んだ表情をしたブリジットからリックの行方が一昨日の夜からわからないこと、姿をくらました理由や行き先の心当たりがあれば教えて欲しいと告げられる。

最近のリック・フォースターについて

ブリジットが答えるのは以下の通りである。(ブリジットはリックのことを略さずリチャードと呼ぶ。)

  • マーシャが亡くなってから、ずっと部屋に閉じ籠ってろくに食事もとっていなかった。仕事も手につかなかったようだ。
  • 大体2週間ほど前から元気になったのか自室で熱心に机に向かっていた。
  • また、夜たびたび外に出るようになった。
  • 一昨日の夜出かけたきり帰ってこず、連絡もとれない。
  • リックの部屋は掃除機をかけてシーツを直すくらいはしたが、仕事道具もあるのでほぼそのままの状態にしてある。書き置きがないか探したが目に付くところにはなかった。

また、この時ブリジットは以下のように考えている。

  • 成人済みの息子を心配する必要はないのかもしれない。
  • しかし、マーシャを亡くして落ち込み、仕事もせず引きこもり、まるで亡霊のような姿を見ているので、せめて見つけることはできなくても行方をくらました理由だけでも知りたいと思っている。

マーシャの死因

  • <知識>ロールに成功すれば、マーシャが勤め先の会社の仕事で外出中の時、玉突き事故に巻き込まれ亡くなったとわかる。不運なことにこの事故によって亡くなったのはマーシャだけである。
  • <知識>ロールに失敗してしまった場合は、交通事故で亡くなったということだけしか知らない。

導入の終了

  • 時刻は15時少し前。
  • ひと通り話を終えた探索者が無駄な質問ばかり続けた場合、次の行動を促す。(探索者が次の行動に迷っているようだったら、2階にリックの部屋があると促してもよい。)

各々行動を始めようとする探索者たちをブリジットが引き止め、「せっかく来てくださったのだし、よければお夕飯を食べていかないかしら?」と夕食に誘う。

外へ出る探索者がいた場合は、ブリジットは玄関まで見送り、了承した探索者には19時前くらいに夕飯にすると告げる。

リックの部屋

  • 探索に掛かる時間は最大4~5時間程。分担した場合にはこの限りでない。
  • 18時にイギリスが部屋へ訪れる。

階(2階)にあるリックの部屋は小説家らしく、壁の一面には大量の書籍が並んでおり壮観だ。オカルトチックな小物も飾られているが、インテリア目的なのだろう。
他にはシンプルなベッドと、引き出し付きの机の上にノートパソコンが置かれている。

ベッド

  • 所用時間:5〜10分
  • 調べるとベッドサイドにメモ帳を発見する。

メモ帳には特に何も書かれていない。 だが、<目星>成功で、一度鉛筆で消しゴムで消した「メアリー教会」の文字が読み取れる。
<アイデア>成功で、メアリー教会の墓地にはマーシャが眠る墓があることを思い出す。

また、メアリー教会について<知識>に成功すると、ここ2週間の間に3件もの墓荒らしがメアリー教会で起こっていることを思い出す。

同じく<オカルト>に成功すると、メアリー教会に隣接する雑木林には霧が出ている夜に幽霊が出没する噂が昔からあり、実際に行方不明者も出ていることを思い出す。

※イギリスはメアリー教会について<知識><オカルト>は自動成功で情報を得られることとする。

本棚

  • 所用時間:2時間
  • <図書館>成功で大量にある書籍の中から、封筒を発見する。

封筒の中を開くとクリップで纏められたコピー用紙の束が出てくる。手書きの古書をコピーしたもののようで、あちこち誤記や間違った表現があり非常に読みにくい。

封筒自体に<目星>または探索者から送り主、消印を調べると申告された場合は、アメリカのニューオーリンズから送った荷物であること、送り主の名前と消印の類が何故かないことがわかる。

実際は2冊(食屍鬼写本と食屍鬼教典儀)が封入されていたのだが、リックが持ち出しているため食屍鬼教典儀を探索者が入手することはない。

コピー用紙の束(食屍鬼写本)を読む場合は<英語>に成功しなければならない。

食屍鬼写本

  • 読んで理解するためには4時間必要とする。
  • 斜め読みする場合は1時間半消費する。半分の正気度喪失、呪文取得はなし
    斜め読みの後じっくり読む場合は、残りの時間ともう半分の正気度喪失が起こる。

古めかしく読みづらいその書籍のコピーの内容はそれはおぞましく、納骨堂の神と呼ばれる異界の神と、それを崇拝する死者を糧とする怪物について記されていた。

―納骨堂の神モルディギアンとそれを崇拝する屍肉喰らいの食屍鬼の教団―

食屍鬼たちで構成される教団は、かの神を慰撫するため自分たちの死者を捧げる。本来はドリームランドという異世界に存在する教団であるが、死者を調達するため現世に現れては墓地を荒らすこともある。食屍鬼の神官は頭巾の付いた豪華な深い紫色のローブと、銀の頭蓋骨のような仮面で自身を完全に覆っている。
モルディギアンは特に悪意のある存在ではない。神の怒りを買わない限り、生者には興味を示さない。死者を蘇らせることはモルディギアン崇拝において最大の禁忌である………。

  • このおぞましい書籍を読んだ探索者は1/1D4+1のSAN値チェッククトゥルフ神話技能に+3ポイント。
  • モルディギアンの招来」の呪文を覚えることが可能。
屍肉喰らいの生の呪い

この本を読み(斜め読みも含む)、POW×5に失敗した探索者に呪いが掛かる。成功したものは呪いから逃れることができる。

  • 失敗したものは1D4日後に呪いが発動する。

呪いが発動すると、屍肉に対する心騒がせる飢餓感に悩まされることになる。これに抵抗するためにはPOW×5に成功しなければならない。

  • 成功しても翌日にはPOW×4POW×3POW×2POW×1と日数が過ぎる度成功率が低くなっていき、失敗するまで続く。(POW×1以下の確率になることはない。)

失敗した場合には屍肉を貪りたいというおぞましい欲望に駆られ、探し出して食べてしまう。1D10の正気度喪失

  • その後1D6日後に完全な食屍鬼になってしまう。その間常に1D10正気度を喪失する。(SAN値0にならない限りPCとして使用することは可能。)

  • 所用時間:〜20分
  • <目星>に成功すると、引き出しの中から隠されるようにしまわれていた手帳を見つける。

手帳を開くと何処かの見取り図が挟まれており、手帳には短い文章の日記のような内容が書かれていた。見取り図には赤いチェックマークが3つ、丸印が1つ。丸印からは矢印が林へと伸びている。

何処かの見取り図(メアリー教会管理の墓地)

一度中に入ってしまえば、警備は手薄のようだ。僥倖である。
目的が悟られぬようにせねば。

今日見たものは果たして現実のものなのだろうか?
あれは何だ?ブラックドッグ?それともバーゲストか?
やつらを警戒する余り何もできなかった。

やつらは墓を暴いているようだ。
何が目的なのだろうか。様子を見るべきか?
やつらが漁った場所にチェックマークをつけておく。

<ナビゲート>または<アイデア>の成功でメアリー教会が管理する墓地の見取り図ということがわかる。

<ナビゲート><アイデア>の組み合わせロールに成功すれば、矢印の書かれた墓場が、マーシャのものだとわかる。マーシャの墓から雑木林のほうへ矢印が出ている。

リックのノートパソコン

  • 所要時間:〜1時間
  • 起動してもパスワードなどは掛かっておらず、普通に調べることができる。
  • <図書館>または<コンピューター>に成功すると、履歴からリックが「死者は夢を見る」というオカルトサイトに頻繁にアクセスしていることがわかる。

「死者は夢を見る」

「死者は夢を見る」を調べると、交流チャット室が設けられていることがわかる。
パスワードが端末に保存されているのでログイン時に入力は必要ない。また、リックが使用しているHNが「R」ということがわかる。

チャットを詳しく調べる場合はもう一度<図書館>を振る。調べ物をはじめた2週間前を中心に調べると探索者側から提案があった場合は+30追加して振る。
成功すると2週間程前のチャットの記録を見つけることができる。

XX.09.20XX Rがログインしました。
A:よぉ。久しぶりだな。仕事の調子はどうだ?
R:久しぶり。いや、最近気がふさぐばかりで眠れないんだ…。
A:どうした?何かあったか?
R:妻が、事故で亡くなったんだ。
R:どうして僕はあの時彼女のそばにいなかったのだろう。家族の顔も友達もマーシャのことを思い出してしまって部屋からろくに出ることができないんだ。
A:そうか…。お悔やみ申し上げる。
A:あまり思い詰めるなよ。事故なら仕方ないだろ。
R:皆そう言ってくれる。…だが、彼女とは長いこと愛し合ってきたのに、神に見放された気分だ。
R:仕事もそろそろしなければいけないのはわかってる。でも何もやる気が起きない。もう、生きる気力さえないよ。
A:大丈夫か。俺はRの作品のファンだから、次の話が読めないのは悲しい。
A:そうだ。この間興味深い書物を2冊手に入れたんだ。本のコピーを送るから読んでみたらどうだ?
R:お気遣いありがとう。でも今は何も手につきそうにないんだ…。
A:気晴らしだと思って読んでみろよ。Rの望むものがあるかもしれない。
R:僕の?
A:まあ楽しみにしていてくれ。

以下は上記チャットの翌日のログ

XX.09.20XX Aがログインしました。
A:昨日言ってた本を送っといたぜ。近い内に届くと思う。
A:お前が早く元気になることを祈ってる。そうしてくれないと俺が困るからな。
R:ありがとう。気が向いたら読んでみるよ。

以下は探索日より3日前のログ

XX.10.20XX Aがログインしました。
A:昨日言っていた奇怪な化け物についてだが、俺に少し心当たりがある。そこで、お前の役に立つ呪物を送っておいた。
A:赤い石のついた指輪だ。詳しくは手紙を同封したからそちらを読んでくれ。
R:ああ、助かる。

ノートパソコンを再度調べる

探索者側から再度調べると提案があれば自動成功でAがチャットにログインしていることに気がつく。提案がない場合、<幸運>を必要とする。
以下の文がチャット画面に表示されている。

XX.10.20XX Aがログインしました。
A:よかった、R。話したかったことがあるんだ。

探索者はチャットでAに質問することができる。
ただし、イギリスがフォースター家へいる間はAはチャットを返さない。 Aから聞けるのは以下のとおり。

  • リック・フォースターの書籍のファンで、1年近く前からチャットでやり取りをしている。
  • 送った古書のコピーに呪いがかかっていることがわかり、チャットルームに顔を出した。
  • 呪いは読んだ人間全てに振りかかるわけではないが、運が悪ければ数日のうちに容姿に影響が現れる。
  • もし呪いの果てに屍肉を口にしてしまった場合、もう人間に戻す方法はない。救う方法があるとすれば、人の意識がある内に殺してやるくらいだろう。
  • リックにお守りの赤い石のついた指輪を贈ったことについて。墓地に現れる化け物を消し去る呪文に使うものである。使い方は同封した手紙に書いてあるが、部屋にないのであればリックが持っているのだろう。
  • 呪文について聞かれたら、「古書のコピーを見ればわかる。」と答える。

ある程度会話が済んだら「すまない。今出先なんだ。そろそろ話は終了でいいか?」と切り上げる。

謎の英国紳士の登場と夕食

イギリス登場前のスーザンの行動

  • 探索中、18時前に1階へ行くと来客のためにブリジットにお茶を頼むスーザンに会うことができる。

リビングへ入ると、ゆったりとした白髪を一つに纏めた優しげな老婦人がいた。
その顔には覚えがあった。リックの祖母、スーザンである。リックの結婚式で、彼女に向かって「お婆ちゃん」と幸せに満ちた顔で話しかけていたリックを思い出す。
「あら、いらっしゃい。ブリジットから皆さんのことは聞いてるわ。お力になってくれて本当に感謝してるわ。ありがとう。」

スーザンはブリジットに「急な話だけど6時に来客がある。お客さんが見えたら自室までお茶を運んでほしい」ことを伝えます。会話の内容から察するに、スーザンもリックの捜索を自分の友人に依頼したようだ。

スーザンやブリジットに話しかけると、予定が被ってしまったことを詫び、先方の都合で急遽来ていただくことになったと話す。

この時スーザンに対し<心理学>に成功すると、「不安と戸惑いを抱えているように感じる」ことができる。追加情報として「気遣わせないよう気丈に振舞っているように感じる」こともできる。

  • スーザンは少し前にイギリスから電話を受けており、イギリスは濁していたが祖国が動くような事態が起きていることを察している。最近のリックの様子から、リックが無事に帰ってこないかもしれないことも覚悟し出している。

イギリス登場

  • 時刻は18:00。

来訪者を知らせるチャイムが鳴り響くので、玄関ホールまで様子を見に行くか探索者たちに尋ねる。
リビングもしくは他の部屋で待機している探索者に対しては <聞き耳>ロールをさせ、成功すれば会話のみ聞くことができる。

玄関まで行くと、丁度ブリジットが来客を出迎えるところに遭遇する。

扉を開けるとそこにはくすんだ金髪の青年が立っていた。彼の着ている仕立ての良いコートやスーツは、成人して程ないであろう容姿には些か不釣り合いに思える。しかし、ピンと張った背筋や張り詰めた表情からは、老成した雰囲気が伺える不思議な青年であった。
しかし、何よりも目を瞠るのは、常人の二倍はあるであろう眉毛だ。太い、恐ろしく愉快な眉毛だが、それなりに整った顔に何故か妙に馴染んでいた。

奇妙な間が空き、青年がなかなか言葉を発しないため、ブリジットが声を掛ける。
「あの、18時にお約束をしているとお伺いしておりましたが、母のご友人でお間違いないかしら?」
ブリジットの言葉に青年はハッとすると、頭を下げる。

この時イギリスはブリジットをスーザンと間違え、懐かしさと随分と若い様子に驚いている。
<心理学>に成功すると、ブリジットの顔を見て、驚いているような戸惑っているような印象を受ける。

「これは失礼。ミセス・スーザン・フォースターの友人のアーサー・カークランドと申します。急にご訪問する形になり申し訳ございません。」
「いえ、お気になさらないでください。私、娘のブリジットと申します。母にこんな若いご友人がいたとは驚きですわ。どうぞお上がりください。」
丁度、玄関近くの一室の扉が開き、中から老婦人が顔を出す。ブリジットの母、リックの祖母であるスーザン・フォースターだ。
「お待ちしておりましたわ、Sir。どうぞ、こちらへ。」

スーザンは自室に青年と一緒に戻り、ブリジットはお茶を用意しにリビングへと向かう。

スーザンの自室前

イギリス来訪時にスーザンの自室の前で<聞き耳>に成功すると以下の会話を聞くことができる。KPが促してもよい。

「久しぶりだな。」
「ええ、本当に懐かしいわ、Sirイ…。」
「スージー。今日はただのアーサーでいい。」
「わかったわ、アーサー。…本当に懐かしい、昔に戻ったようだわ。わたしは随分とおばあちゃんになってしまったけど。」
「いや、変わらず美しいよ。」
「ふふ、お上手ね。あなたから突然電話を貰った時はびっくりしたわ。………リチャードは…あの子は大丈夫なの?」

ここまで聞いたらブリジットがお茶を淹れ終わりこちらにやってくる音が聞こえる。探索者にスーザンの自室前から離れるよう促す。

その後もスーザンとイギリスの会話を探索者が盗み聞きしようとした場合は、イギリスに<聞き耳>を振らせ、成功した場合は探索者の気配に気づき嫌味を言って追い払う。失敗した場合もブリジットを度々部屋の前にやり、中断させる。何度も会話を盗み聞きしようとする探索者にはペナルティを与えていい。

聞き耳成功で渡す情報も、ブリジットとスーザンを間違えてしまったくらいの内容で良い。

イギリスはスーザンに明日また伺うと告げ、18時半にフォースター家を後にする。

夕食

  • 時刻は18時半過ぎ

ブリジットが夕食の準備ができたと伝えにくる。
(夕食のメニューは前菜にクリームチーズと蜂蜜のクラッカー、メーンはポークパイとマッシュポテト、グリーンピースにヨークシャープディング。)

夕食中にブリジットとスーザンに聞きたい話がなければ時間をスキップして構わない。

一日目のイギリスの行動

夕食後、探索者たちがフォースター家を後にし、暫く歩いたところでイギリスを発見する。

イギリスは仕事が終わってすぐにフォースター家を訪れたので、外でご飯を済ませていた。探索者たちが出てくるまでスタンバってたとか悲しいことをしていたわけでは決してない。

夜道を暫く歩いていると、街灯の下に先ほど見かけた姿がいる。スーザンを訪ねてきていた青年、アーサー・カークランドだ。
彼は探索者たちの姿を確認すると話しかけてくる。
「少し話をしたい。時間を貰ってもいいか?」

「改めて自己紹介をさせてもらうな。俺はアーサー・カークランド。訳あってリチャードの祖母から彼の捜索を依頼されている。」

イギリスは探索者たちに対し、最近リチャードに変わったことはないか、連絡を取ってた者はいないかということを尋ねる。
探索者側からも質問をしていいが、イギリスは大体のことは言葉を濁す。

ある程度話したらイギリスは探索者を関わらせまいと尚更冷たく接する。

「………本題に入る。これ以上首を突っ込むな。ここからは俺が動く。」

イギリスに対し<心理学>ロール成功で、以下のことがわかる。

  • 何か大きな不安を抱えているように見える。
  • 職業など隠していることに関しては、嘘をついているように感じ、出目がいい場合は隠したい事情があるように思える。
  • イギリス出身の探索者が<心理学>ロールをした場合、成功失敗関わらず、イギリスのことを悪い人だとは思えないと感じる。

話が平行線になったら、強制的にイギリスはその場を去る。

「…とにかく、話はここまでだ。じゃあな。大人しくしてろよ。」
取りつく島もなく、彼は立ち去ってしまう。

スーザンの自室

一日目の夕食後、スーザンはリビングで寛いでいる。
2日目の探索時は午前中はスーザンは外出している。午後は自室やリビングにいる。

探索者がスーザンの自室を調べたいと申請した際に<幸運>ロールに成功すればリビングにいることにして良い。
また、自室外に連れ出すことは可能。

<目星>成功で、アンティーク調の背の低い本棚の中に、1冊だけ背表紙が少し飛び出している本を見つける。

本は大判の薄い年季の入っている本で、中を開くと以下の情報がわかる。

本を開くと色褪せた紙に何枚も写真が貼られており、どうやらアルバムのようだ。どれも数十年前に撮られたであろう古いもので、白黒の写真も多い。
ぱらぱらと頁を捲っていると、1枚の写真が目に留まる。
小学校に入学したてくらいの女児を抱える30代ほどの男性と、20代後半の女性。その二人に挟まれて穏やかに笑う男性――その顔には覚えがあった。アーサー・カークランド、先ほど見た彼が変わらぬ容姿でそこに写っていた。

また、写真の脇には「1968年1月16日テムズ川にて」と記されている。

<アイデア>成功で、女性と女児はブリジットとスーザンの面影が有り、男性はリックにとてもよく似ていることに気づく。

  • 写真のことをブリジットに尋ねても、「彼はどう見ても20代だから、彼のお祖父様の写真ではないか」と言う。
  • スーザンに写真のことを言うと、部屋に勝手に入ったことを窘められる。「彼ね、実は妖精と契約して不老不死の身体なの。私と彼は旦那に出会う前は恋人同士だったのよ。」と冗談を言うがすぐに訂正する。

2日目の探索

空が曇っている描写を必ずする。

本日は実にロンドンらしい曇り空だ。

1日目の時点で食屍鬼写本を読んでおり、1日後に呪いが発動する探索者がいた場合、呪いの対抗処理をする必要がある。

フォースター家(2日目)

イギリスは探索者たちより早くフォースター家を訪れており、リックの部屋を調べている。

  • 前日の探索で探索者が持ち帰ったりした情報などはイギリスは入手できない。
  • 探索者達が朝早くからフォースター家へ訪れようとした場合は、図書館の閉館時間などを理由に少し遅らせたほうがよい。

フォースター家へ行くとブリジットが出迎え、リビングへ案内してくれる。
ちなみに、スーザンは午前中は近所のケアセンターへ出掛けている。

イギリス、ノートパソコン破壊イベント

  • リックの部屋にノートパソコンが残っている場合、イベントが発生する。
  • 探索者がノートパソコンを持ち帰るなどして、イギリスがパソコン内の情報を取得することができない場合はイベントが発生しない。
  • イベントが発生しない場合は、探索者がリックの部屋に来てもイギリスは「首を突っ込むな」と冷たく牽制してフォースター家から去ってしまう。

探索者がリックの部屋を調べようと申告した時、またはブリジットと話をする場合は話が終わったタイミングでイベントが発動する。

「XXXX!!」
突如2階から聞くに堪えないスラングと破壊音が響き渡る。

音の発生源は2階のリックの部屋からで、何事かとブリジットはリックの部屋に向かう。 部屋を開けると、中にイギリスがいる。

  • イギリスは「死者は夢を見る」のチャットのログを見て、Aの正体がニャルラトホテプだと悟る。リックを唆したり、探索者達とコンタクトを取ったことに対して激昂する。
  • Aが自分の口調を真似しているとは全くもって思い至らない。自分はもっと紳士的だと思い込んでいる。

2階のリックの部屋を開けると、机の前で青褪めた顔でこちらに顔を向けているアーサーと目が合った。机の上には無惨にもキーボード部分が破損し、煙を上げているノートパソコン。
状況と握り締められた拳が赤くなっていることから、犯人はまず間違いなく目の前の眉毛の青年だろう。
「あ、あの、これは違うんだ、いや、違わないが。
……すまない、ミセス。息子さんのパソコンを壊してしまった……。弁償させてほしい。」

このイベント後、パソコンを調べることはできない。

ブリジットは怒ることはなく、逆にアーサーの手の心配や息子が怒らせるようなことをしていたのではと心配をする。
イギリスは自身の短絡的な行動を反省し落ち込み、ブリジットは赤くなっているイギリスの手を見て、手当をするため救急箱を取りに一度階下へ行く。

探索者がイギリスに質問をした場合、以下の内容を応える。

  • 何故パソコンを破壊したかについては、「短絡的だった。余り話したくない。」と口を閉ざす。友人の私物を破壊したことについては、丁寧に謝罪をする。
  • 「死者は夢を見る」のチャット内容については触れず、そのことについて尋ねられても見ていないと答える。
  • Aという人物については、思い当たる節がないと嘘をつく。

会話を終えたらブリジットが戻ってきて、イギリスの手当をする。イギリスは再度謝罪し、弁償と出来る限りのデータの復旧を約束するとフォースター家から辞去する。

二日目のイギリスの行動

フォースター家を出た後は、イギリスは一度家へ帰る。

  • リックの手帳の情報を取得していた場合は、ブラックドック及びバーゲストの召喚を行う
  • 古書のコピーを入手しても、妖精から呪いが掛けられていると忠告を受け呪文を取得することはない。ななめ読みは可能。

イギリスを尾行して家を突き止めることは、<追跡>ロールなどに成功すれば可能だが、敷地内に入ろうとすると足が動かなくなる。ストーキングをしている怪しい奴は妖精が通しません。

セント・ジョンズ・ウッドライブラリー、その他図書館

セント・ジョンズ・ウッドのサーカス・ロードにはセント・ジョンズ・ウッドライブラリーという図書館がある。

  • セント・ジョンズ・ウッドライブラリーの開館時間は土曜日は9:30〜17:00日曜日は11:30〜15:00
  • 大英図書館へ行ってもいいが出る情報は変わらない。

入手できる情報はメアリー教会のものだけであり、<図書館><オカルト>などで入手できる。
図書館でなくても、メアリー教会について調べる場合は適時以下情報を提示してよい。

セント・ジョンズ・ウッドの歴史に関して

メアリー教会は200年以上の歴史がある。

新聞1

ここ数年の間にロンドン全域で墓地が荒らされる事件が続いており、犯人は未だに特定されていない。メアリー教会にもここ2週間の間に3件もの墓が荒らされる事件が起きていた。メアリー教会は夜間に警備員を雇うなどして対応しているようだ。

新聞2

ここ最近、夜中のひと気のない場所での暴行事件が相次いでいる。犯人は未だ捕まっておらず、中肉中背で端切れのような粗末な服を着ているらしい。被害者の一人は「奇妙な顔をしていた。暗くてよく見えなかったが、被り物をしていたのかもしれない。」と語っている。

オカルト雑誌

イギリスの有名なオカルト誌「フォーティアン・タイムズ」にメアリー教会について纏められている記事を発見する。
メアリー教会に隣接する雑木林に出没する幽霊についての記事だ。実際に行方不明者も出ているその雑木林だが、近隣の住民の間では霧の出ている夜には近づいていはいけないと語り継がれているらしい。
また、雑木林で犬のような怪物が出るとの噂もあり、正体は犬の姿をした死を告げる妖精、バーゲストの仕業ではないか、と締めくくられている。

ミスリード情報であるバーゲスト(もしくはブラックドック)について調べると探索者から申告があった場合は以下の情報を伝える。リックの部屋の本棚でも同じ情報を得ることができる。

ブラックドックイギリス全土に伝わる赤い目をした大きな黒い犬の姿をした不吉な妖精。人を噛み殺したり、死の前触れを表す伝承がある中、墓地を墓荒らしから守るという温和な一面もある。
バーゲストイングランドの北西部の民間伝承に登場する赤い目と黒い犬の姿をした不吉な妖精。夜中や霧の濃い夜に現れ、この妖精の姿を見ると親しい者に死が訪れるという。この妖精は流れる水の上を渡ることができない。

メアリー教会

ブリジット家からは歩いて20分程。

メアリー教会は礼拝堂などの主要施設の他、少し歩くと墓地があり、墓地裏には雑木林が広がっている。
教会の敷地はぐるっと塀に囲まれており、門の横には警備員詰所が設置されている。

昼間にメアリー教会に訪れ敷地周辺を探索すると、人通りが少なく用意に塀を乗り越えられそうな箇所を発見できる。
夜間の場合は、 <目星>に成功する必要がある。
また、門は閉じられ警備員が警備しているため、正面突破をする場合は <言いくるめ>などの成功が必要。

主要施設を調べても特に情報はない。

墓地

墓地周りの街頭の数は少なく、頼りない明かりが墓地を照らしている。

昼に訪れた場合は、夜間歩くのには少々心許ない。と描写する。

緑と花々に囲まれてはいるが、人通りはほとんどなくどこか不気味な雰囲気を醸し出している。
近くにあるのは古い墓守小屋のみだが、そこも取り壊す予定なのか中には何もない。

マーシャの墓

マーシャの墓は立てられてから間もなく、汚れのないその石にリックが縋り付くように泣き声を上げていたことを思い出す。

<地質学>に成功すると、墓周辺の土が柔らかく誰かが最近掘り起こしたのだとわかる。

<目星>に成功すると、周囲に複数の足跡があるのがわかる。足跡は墓地の奥にある雑木林へと続いている。

  • <目星>でクリティカル、または続けてアイデアに成功すると、複数の足跡の多くは奇妙な形をしており、それを追うように成人男性程の大きさの靴跡が残っている。<追跡>で雑木林まで足跡が続いていることがわかるが、それ以降は追跡不可。

<聞き耳>に成功すると、近くの茂みで紙が揺れたような音が聞こえる。音がした方へ向かうと、折りたたまれた便箋を発見する。

折りたたまれた便箋

便箋を開くと赤い石のついた指輪が出てくる。
便箋に書かれている内容は以下。

親愛なる友人リックへ
化け物を撃退することができる術を特別に教えてやる。
この赤い石のついた指輪を身につけ、化け物たちを視界に入れた状態で神の招来の呪文を唱えろ。
打つ手がなくなった際に使用するといいだろう。
ただ、この指輪は強力な力を備えてはいるが、脆い物なので注意してほしい。使用できるのは一度きりだ。
神のご加護を。

指輪についた赤い石の正体は、人間の血を凝固させた特殊な結晶である。
本来、招来の多くは生贄などを必要とするがそれを省略させることを可能とする。
ただし保管がきかないため、一度使用すると砕け散る。またこのAFが使えるのは、このセッションの間のみであり、使わないでクリアした場合、赤い石はいつの間にか壊れている。

×マークのついた墓

<地質学>成功で、掘り起こした後がある他、調べても特に気になる点はない。
大人の遺体が土中で白骨化するのは7〜8年掛かるので、その期間内に建てられた墓である。

墓地裏の雑木林

1日目または2日目の昼

雑木林の入り口には立ち入り禁止の看板がある。 林の中は鬱蒼としげる草木で日光(月光)が遮られ、視界が悪い。

入り口付近では何も見つからない。ある程度歩いたら、ダイスロールを許可する。ただし、成功しても特に見つかるものはない。

ダイスロールでファンブル、または<幸運>ロールで失敗した場合、躓いて怪我をする。耐久力を減らす。
どうしてもリック救出ルートへ向かわせたい場合は、他の方法を試してよい。

転んだ拍子に近くにあった岩に手を伸ばす。しかし、手を掛けた岩は体重を掛けた途端、探索者の体を支えることなくずるりと滑ってしまう。顔から湿った土へ倒れ、手も摩擦で怪我を負った状態になる。

視界が悪いため付近を探索しても気づかないが、岩があった場所の地面に小さな穴が開いており、リックが囚われている食屍鬼の洞窟へと続いていた。

いずれにせよリックは自力で食屍鬼の洞窟から脱出するのだが、このイベントで探索者たちの声を聞いたのかもしれないし、外の空気が流れてきたことにより、探索者たちの前に現れる際にマーシャの死体を口にすることを耐えることができる。
魔石による呪いの解除も可能となる。(この場合、リックの現正気度は20となる。)

2日目の夜

雑木林の入り口には立ち入り禁止の看板があるが、事前に訪れている場合は描写しなくていい。

10月のロンドンとは思えない冷え込みようで、暫く歩いていると季節外れの霧が眼前を覆った。無造作に伸びる木々のせいもあり視界が悪い。

リック救出ルート

2日目夜の前に雑木林へ行き岩を動かす
(リックがマーシャを食べず食屍鬼化回避)
2日目夜雑木林
行く
行かない
イギリス登場条件
満たしている

イギリスの登場
満たしていない
聞き耳・隠れる
成功

影たちの会話
失敗

食屍鬼との戦闘B
倒れたリックを発見イベント
自動成功

食屍鬼との戦闘A
成功
失敗
イギリスの正体
リックの生存
生存
死亡

ブリジットたちへの報告
リックの呪い解除
解除
未解除

戦闘 or リックの最期
リックの遺書
見せる
見せない
ベストエンドグッドエンドバッドエンド強制バッドエンド

イギリスの登場条件を満たしている場合、イギリスの登場イベント行う。

イギリスの登場条件を満たしていない場合、全員<聞き耳>を振る。
<聞き耳>成功で影たちの会話イベントの後、倒れたリックを発見イベントへ。
失敗した場合は、 食屍鬼との戦闘Bイベントに突入する。

倒れたリックを発見

リックは食屍鬼の洞窟脱出後、雑木林内でマーシャの遺体を口にしたいと欲求に襲われた際に、自分の舌を噛み切ってその欲求に耐える。
この際 リックのHPは2になっており、意識不明状態。

<聞き耳>に成功で、林の奥からかすかに呻くような声が聞こえる。

  • <聞き耳>成功者が<目星>に成功すると倒れているリックを発見することができる。
    または<聞き耳>成功者から声が聞こえた方向を教えてもらった者は技能値から -10引いて<目星>を振ることもできる。
  • イギリスの登場条件を満たしている場合、イギリスは自国民の気配がわかるので自動成功で発見できる。
  • 探索者がメアリー教会を去るまでにリックを見つけられなかった場合は、食屍鬼に見つかり殺され食屍鬼の洞窟へ連れ去られてしまう。

生い茂る雑草の中、倒れている2つの人影のようなものを見つける。
その内一つが羽織っているコートには見覚えがあった。かなり汚れてはいるがリックが愛用しているコートだ。

リックはうつ伏せの状態で倒れている。リックを助け起こしたり、変貌したリックの顔を見た探索者は1/1D6+1のSAN値チェック

そこには変わり果てたリックの姿があった。濁った色のゴムのような皮膚。だらりと垂らした両腕には鋭い爪が生えており、人間の皮膚などたやすく引き裂いてしまいそうだ。
彼の面影はあるものの顔は犬のように歪んでおり、口からは鮮血が滴っていた。

近くにいるもう一つの影はマーシャの遺体である。死体を見た探索者は0/1のSAN値チェック。(変貌したリックを見ているのでSAN値喪失は少なめ)

リックの傍らには腐敗した死体があった。土気色の肌、落ち窪んだ眼球。近づくと腐敗臭がキツイが、体型などから成人女性の遺体ということがわかる。

リックについて

リックの具合を調べたい場合は、<医学><応急手当>に成功すると、舌を噛んだショックで気絶していることがわかる。(手当をしたということで、HPを回復して良い。)
リックは意識を取り戻すが、まともに喋れる状況ではなく、衰弱して自力では動けない。

リックの瞳がゆっくりと開く。探索者たちと視線が合うと、リックの目からボロボロと涙が零れ落ちる。
「ァ…シャ…墓…本…ゃい…」
彼は必死に何かを伝えようとするが、うまく言葉を紡げないようだ。
リックはコートの中に手を入れると、震える手で探索者たちに銀色の懐中時計と不思議な質感の薄汚れた皮の袋を差し出す。

詳細はリックの荷物へ。
<医学><応急手当>に成功しなかった場合も、リックに<目星>成功で荷物を発見する。

影たちの会話イベントの後、倒れたリックを発見イベントで無事リックを発見できた場合、食屍鬼との戦闘Aイベントに突入する。

呪い解除について

リックの屍肉喰らいの生の呪いを解かない限り、ベストエンドに到達することはできない。
リックの呪いを解く前に、他探索者が魔石を使用してしまった場合リックの呪いを解くことは不可能なので、状況に応じて以下イベントを発生させる。

リックと戦闘

  • リックが意識不明状態のまま。

屍肉を貪りたいというおぞましい欲望は膨らんでいき、意識不明であっても着実にリックの正気を蝕んでいた。
目を覚ましたリックの傍らにはマーシャの遺体。耐えきれずリックは屍肉を口にしてしまう。

バリ…バリ…バリ…と何かを引き千切り、噛み砕くような音が耳に入る。
音のした方向に目をやると、そこにはマーシャの遺体を貪り食うリックの姿があった。

リックはゆっくりとこちらを振り向く。
その目は淀んでおり、腐肉と蛆に塗れる口からは低い唸り声が漏れていた。

友人の恐ろしい食事風景を目撃してしまった探索者は0/1D2のSAN値チェック

正気を失ったリックとの戦闘へ。
ただし、リックのHPは2(+回復していた場合回復分)で戦闘スタート。

戦闘が終了したらリックの最期イベントへ。

リックに殺してくれと懇願される

  • リックの意識が回復している。
  • 呪いを解くことが不可能だとリックが知る。

自分のこの耐え難い、冒涜的な渇きを抑えることが不可能なのだと悟ったリックは、必死に探索者たちに「殺…してくれ…、殺してくれ…」と訴えかける。

探索者が必死に説得したとしても、リックの意志は変わらない。
マーシャの遺体から美味しそうな匂いが立ちこめてくる、抗えないと必死に伝えてくる。

探索者がリックに止めをさすと決めたら、リックの最期イベントへ移行する。

リック食屍鬼化ルート

2日目夜の前に雑木林に行かなかった
または、雑木林の岩を動かせなかった
(リックがマーシャの遺体を食べ食屍鬼化)
2日目夜雑木林
行く
行かない
イギリス登場条件
満たしている

イギリスの登場
満たしていない
聞き耳・隠れる
成功

影たちの会話

リックの奇襲イベント

リックの最期

食屍鬼との戦闘A
失敗

食屍鬼との戦闘B

リックの最期
イギリスの正体

ブリジットたちへの報告
リックの遺書
見せる
見せない
グッドエンドバッドエンド強制バッドエンド

リックの奇襲

  • イギリスの登場条件を満たしていない場合、以下の処理を行う。

ランダムで攻撃を受ける相手を決める。
<聞き耳>成功で背後から忍び寄る気配を感じる。続けて<回避>を行うことができる。

  • <回避>成功で背後からの攻撃を避けることができる。
  • <聞き耳>または<回避>に失敗した場合はかぎ爪の攻撃を受け1D3のダメージ。

イギリスが合流していた場合

イギリスと合流している場合は、<聞き耳>などのロールは不要。
イギリスが身を呈して庇ってくれる。

「あぶねぇ!」 突如アーサーは、<探索者>を突き飛ばす。体勢を崩したアーサーに何かが襲いかかり、彼の肩から赤い血が散った。

リックとの遭遇

その場にいる全員が攻撃を加えた何者かの方を見る。
濁った色のゴムのような皮膚。背を丸め、だらりと垂らした両腕には鋭い爪が生えており、人間の皮膚などたやすく引き裂いてしまいそうだ。
ボロボロのコートやズボンは土に汚れてはいるが、その服には見覚えがあった。行方を探していたリック・フォースターが変わり果てた姿でそこに立っていた。
犬のように歪んだ顔。瞳の色だけは記憶しているものと違わない。だが、その目に光はなく、歯茎を剥き出しにした口からは低い唸り声が漏れていた。

食屍鬼化したリックを見た探索者は1/1D6+1のSAN値チェック。(ダメージを食らった者はさらに+1SAN値が減る。)

上記処理が終わったら戦闘へ。
イギリスが戦闘に参加する場合、銃を使用すると墓にいる食屍鬼たちに音で位置がバレるので使用しないこと。

探索者の希望で<精神分析>を行った場合は正気に戻る。ただし、精神分析を行うためには、<組みつき>の成功、精神分析を行う時間の余裕がなければならない。

分岐イベント

イギリスの登場

リックの部屋の探索、もしくは探索者から以下の情報を得ると、2日目夜の雑木林でイギリスが登場する。

  • メアリー教会の名前(メアリー教会の名前を聞いた時点で<知識>で得られる墓荒らしの情報、<オカルト>で得られる霧の夜の幽霊の話は自動成功で得られる。)
  • リックの部屋の机の中の手帳(日記)

ランダムで探索者のうちの1人の襟首が引っ張られ、続いて口を塞がれる。

慌てて後ろを見やると同時、押し殺した声が耳に届く。
「静かにしろ。全員そのままこっちへ来い。」
声と<探索者>を掴んだ手の主は、険しい顔をしたアーサー・カークランドであった。
彼はぐるりと一同の顔を睨むように目線を動かすと、<探索者>を掴む手はそのまま藪の方へとじりじりと後退し出す。

イギリスの言葉に従い藪に隠れた場合は、影たちの会話イベントに突入する。

もし、抵抗した上大きな音を出した場合は、食屍鬼4体に見つかり食屍鬼との戦闘Bへ。

影たちの会話

<聞き耳>成功で以下のイベントが発生する。
また、周囲の木々に身を隠すことが可能。夜と霧の効果で宣言だけで自動成功とする。

草木の影に隠れ身を潜めていると、足音は探索者たちのすぐ傍を通り過ぎていく。姿は確認できないが、会話をしているようでぼそぼそと声が聞こえてくる。

更に、<聞き耳>で以下の会話を聞くことができる。

「ヤツはイタか!?」
「イエ…。」
「禁呪ヲ所持しテいたヤツを逃した挙句、生贄ヲ奪われるとは!何故誰モ見張ってイなかッた!」
「申シ訳ございマせん…。」
「言い訳はイイ。生贄ハ何トしてデモ取リ返せ。タダでさえ神ヘの供物ガ不足しテいる上、コノ失態。神ニ知れタラ我々ノ命モ危ういゾ。」
「同ジク奪わレた呪いヲ解く魔石ハどうナサイますか。」
「アレは普通ノ人間ニハ扱えヌ代物。ヤツには使えヌだろうガ、他の者の命ヲ犠牲ニすれバ話は別ダ。最悪破壊してもイイ。奪い返セ。ヤツは見ツケ次第殺セ。」
「はっ!」
声は次第に遠ざかり、墓地の方へと去っていった。

イギリスが合流していた場合

完全に足音の主たちが遠ざかるのを確認すると、アーサーは「思ったよりも数が多いな」と舌打ちする。そして、君たちに向かって声は落としながらも厳しい声音で話し出す。
「だから首突っ込むなって言っただろうが!何で来た!」
「くそっ!俺が囮になる。お前らはその隙に逃げろ。」

イギリスと協力する、囮をやめさせる場合は<説得><信用>に成功する必要がある。

  • 説得内容、または今までのRPでイギリスという国やイギリス自身に対し友好的な態度を取っていたり、リックを心から心配している様子がわかる場合は補正(最高+60)をつける。

イギリスを囮にしメアリー教会から立ち去った場合、翌日まで時間を強制的に進める。
イギリスはHP0状態で地元警察に保護され、 強制バッドエンドを迎える。

リックの荷物

リックのコートから銀色の懐中時計、不思議な質感の薄汚れた皮の袋を発見する。

リックは食屍鬼教典儀も所持していたが、食屍鬼の洞窟から脱出する前に処分をしている。

不思議な質感の皮の袋

袋にたいして <医学>または<生物学>を行い成功した場合、人の皮膚が使われた袋だと気づく。0/1D3のSAN値チェック

袋の中を見ると羊皮紙に包まれた複雑な色をした歪な石が出てくる。

羊皮紙

保存状態も悪く、読み解くのに<英語>に成功する必要がある。
以下の内容が書かれている。

屍肉喰らいの生の呪いを解くには魔石の力を解放する以外術はない。
魔石は強力な魔術の力、または贄無くしては覚醒せず。
呪術者よ、石を両の手に包み、魔力を込めよ。赤き光が呪いを浄化する。
贄の魂の灯火を以って呪いを解くには、贄の心の臓を突き其の傷に魔石を埋めよ。
然すれば魔石を覚醒す。決断せよ、屍肉を喰らう前に。

複雑な色をした歪な石(魔石)

屍肉喰らいの生の呪いを解くことができる魔石である。

  • 効果は一度のみ
  • 一度に複数人の呪いを解くことは可能
  • 屍肉を口にした後は効果なし

MPを消費して呪いを解く場合、MPが50必要。複数人でMPを出し合うことはできない。
事実上、この魔石はイギリスにしか扱うことができない。イギリスに力を使ってほしいと頼むと、快諾する。

一度しか使用できないことや、上記条件は<オカルト>POW×5でのダイスロール成功や、イギリスが石に触れることでRPなどでヒントを与えてよい。

イギリスのMPが50以下に減っていた場合、呪いを解くのはMPが回復する翌日以降となる。MPは一日20以上は回復しないこととする。
その間に呪いを受けたものが、食屍鬼になってしまった場合は魔石を使う意味がなくなる。

アーサーが石を両手で包み込み、目を閉じると、閉じた手の隙間から赤い光が零れ出す。胸にこみ上げる不安から思わず彼の顔を覗き見ると、丁度閉じていた瞼がゆっくりと開いた。
彼の手の上の石は先程とは違い、燃えるような赤色をしていた。

「触れてみろ。」
そう言いながらアーサーは自分の手を差し出す。
指示に従い手を重ねると、石は一際強く赤い光を放つ。暫くするとその光も消え、石はヒビ割れ黒く変色してしまった。

人を殺して魔石を使用した場合、1D3/1D6+1SAN値チェック

胸の中心部に空いた傷穴に石を捩じ込む。ぐちりと、血液の水音と、肉が押し開かれる音が響いた。
誰も言葉を発さない。どれくらい時間が経ったであろうか。気づくと、傷口から赤い光が漏れ出ていた。
<犠牲者>の胸から取り出した石は規則的に光を放っており、まるで心臓の欠片のようだ。
石を握りこむと一際強い赤い光が差す。暫くするとその光も消え、石はヒビ割れ黒く変色してしまった。

壊れた懐中時計
リックの懐中時計
リックの懐中時計

蓋のついたタイプの懐中時計で、蓋の裏には写真が差し込まれている。時計の針は動いておらず、どうやら壊れているようだ。

写真はリックの部屋で見つけた写真の切り抜かれた部分であり、リックとマーシャの結婚式で二人と探索者たちが笑顔で写っている写真である。
<目星>成功で懐中時計の裏側も蓋が外せることに気づく。
蓋を開けると、中の機械を無理やり外したスペースに以下の手紙が押し込まれている。

この手紙を見つけてくれた方へ

母のブリジット・フォースター、祖母のスーザン・フォースター、それか友人たちにこの手紙を託してほしい。
そして、わたしの部屋にある古書のコピーを、中身を見ずに焼き切ってほしい。
きっとわたしは無事に戻ることはできない。この言葉を託すことが、愚かなわたしに唯一できること、そして願いである。
こんなことになってしまったのは、全て愚かな自分の責任だ。神もお許しにはならないだろう。
どうか、この手紙が誰かの目に留まってくれることを切に願う。

<探索者たちの名前>
彼らは元気だろうか。
ずっと会うこともしていないし、心配する連絡にも返事を返せていない。
…君たちと話をしてしまったら、あの幸せな日々を思い出してしまって、決意が揺らぎそうで、どうしても連絡できなかった。僕は弱かったんだ。
最後にまた一緒に笑いあいたかった。

愛する母と愛する祖母。
できることなら、もう一度顔を見たかった。
でも、もうそれも叶わない。
欲に囚われ、支えてくれた二人の存在に最後まで気づけなかった。
二人を残していってしまう僕は何て不孝者だ。馬鹿者だ。
誰か二人の支えになってくれる人がいることを心から願う。
母さん、おばあちゃん本当にごめんなさい。いつまでも愛している。

最後に最愛の妻、マーシャ。
何て愚かなことを仕出かしてしまったのだろう。冷静になってみれば、心優しい君がこんなことを願うはずがないのに。
もう神の元で君に会うことも叶わないと思う。僕はきっと地獄に落ちる。
でも最後の最後まで心の底から君を愛していたんだ。これからも、ずっと。
せめて君の亡骸だけは、正気でいられるうちに何とかここから抜け出して、墓に戻してあげなければ。
マーシャ、僕の愛する人々を空の上から見守っていてほしい。
…本当に僕は我儘だ。ごめん。愛している。

リチャード・フォースター

食屍鬼との戦闘A

  • リック救出ルートの倒れたリックを発見イベントの後、またはリック食屍鬼化ルートで<聞き耳>に成功し、リックを倒した後発生。

<聞き耳>に成功すると、墓地の方からこちらに向かっている複数人の足音が聞こえる。
リック及びマーシャを隠す場合は、探索者の STRと対象のSIZで対抗ロールに成功しなければならない。失敗すれば、食屍鬼4体に見つかり戦闘へ。

  • リック及びマーシャを隠さなかった場合は、食屍鬼は二人を引きずり洞窟へ帰ろうとする。

霧が立ち込める暗闇の中から4つの影が現れる。 その内1体は紫のローブに銀の頭蓋骨を模した仮面で完全に自身を覆っているが、後ろに付き従う者たちは明らかに異形の化け物であった。 不快なゴムのような皮膚。だらりと垂れた両腕に光る、鋭い爪。蹄ともかぎ爪ともつかない変形した脚。前屈みになった姿勢や顔つきは、人間と犬の合成獣のようだ。

食屍鬼を目撃した探索者は0/1D6のSAN値チェック

食屍鬼たちは探索者とリックの姿を見て襲ってくる。

神官「何者ダ、オ前タチ。さてハあの不信心者ノ仲間ダな。」
食屍鬼「神官殿!あそこにヤツが!」
神官「なにィッ!?お前タチそいつヲこちらニ渡セ!」

食屍鬼たちは探索者たちをリックの仲間だと思い込み、襲ってくる。

食屍鬼との戦闘B

  • <聞き耳>失敗、またはイギリスが合流している際に大きな音を出した場合発生。

眼前に4つの影が現れる。 その内1体は紫のローブに銀の頭蓋骨を模した仮面で完全に自身を覆っているが、後ろに付き従う者たちは明らかに異形の化け物であった。 不快なゴムのような皮膚。だらりと垂れた両腕に光る、鋭い爪。蹄ともかぎ爪ともつかない変形した脚。前屈みになった姿勢や顔つきは、人間と犬の合成獣のようだ。

食屍鬼を目撃した探索者は0/1D6のSAN値チェック
食屍鬼たちは探索者たちをリックの仲間だと思い込み、襲ってくる。

神官「何者ダ、オ前タチ。さてハあの不信心者ノ仲間ダな。」
食屍鬼1「奴ハどこダ!」

弁明などしても食屍鬼たちは聞く耳を持たず、「お前たちも生贄にしてやる」と襲いかかってくる。戦闘開始。

  • 食屍鬼に対して<心理学>に成功すると、焦っているのは一目瞭然だが恐怖を感じていることもわかる。

戦闘中のリックの奇襲

  • リック食屍鬼化ルートのみ発生
  • 2R目にリックが乱入してくる。ランダムで攻撃を受ける相手を決める。

<聞き耳>成功で背後から忍び寄る気配を感じる。続けて<回避>を行うことができる。

  • <回避>成功で背後からの攻撃を避けることができる。
  • <聞き耳>または<回避>に失敗した場合はかぎ爪の攻撃を受け1D3のダメージ。

その場にいる全員が突然の乱入者の方を見やる。
行方を探していたリック・フォースターが変わり果てた姿でそこに立っていた。
目の前の怪物たちと同様、背は丸まり両腕には鋭い爪が生えている。
顔は犬のように醜く歪んでいるが、瞳の色だけは記憶しているものと違わない。だが、その目に光はなく、歯茎を剥き出しにした口からは低い唸り声が漏れていた。

食屍鬼化したリックを見た探索者は1/1D6+1のSAN値チェック。(ダメージを食らった者はさらに+1SAN値が減る。)

食屍鬼たちはリックの姿を確認すると口々に叫び出す。
「ヤツだ!」
「あいつヲ殺セ!」
「生贄ハ何処ダ!?」

リックは発狂状態であるため攻撃対象は食屍鬼含めランダム。食屍鬼はリックへの攻撃を優先する。

リックの最期

戦闘の末死亡する

戦闘中にリックのHPが-1以下になった場合は以下の描写をする。

リックは最後の一撃を食らうと、全身の力が抜けたようにガクリとその場へ崩れ落ちる。

リックはこの際攻撃のショックで一時的に正気を取り戻す。

  • <聞き耳>ロール成功で「あ…りが、とぅ………」というリックの小さな声が聞こえる。
  • <目星>ロール成功でリックの口が「ありがとう」と動いたように見える。

まだ息がある場合

リックはHPが〜0、または意識不明状態に陥った場合、まだ息がある状態でゆっくりと倒れる。
攻撃のショックで少しばかり正気に戻っており、うめき声をあげて必死に探索者たちに何か伝えようとする。リックに近づけば「殺してくれ…」という声が聞き取れる。

探索者が止めを刺す

「あ…りが、とぅ………」
彼は何とかそう言葉を紡ぐと静かに目を閉じていった。

  • 友人にとどめの一撃を刺した探索者は1/1D4+1のSAN値チェック
  • 友人の最期を目撃した探索者も0/1のSAN値チェック
イギリスが止めを刺す

リックに止めを刺す際に、イギリスが傍にいる場合は代わりにその役目を負うことを申し出る。

「俺がやる。」
「お前たちはリックと友達だったんだろう?………関わりが一番薄い俺が手を下したほうがお前たちもリックも心の傷が浅いだろう。」

アーサーは自分のコートを脱ぐとリックの頭に被せ、銃口をコートで包むようにリックの額に押し当てる。
「すまない。せめて安らかに眠ってくれ。」
軽い、はじけるような銃声が響き、リックの顔を覆っている布が赤く染まっていく。
――リックの命が尽きたのだ。

  • 友人の最期を目撃した探索者は0/1D2のSAN値チェック
  • 愛する自国民を己の手で殺めてしまったイギリスも1/1D4+1のSAN値チェックが必要。

発狂状態に陥らなくてもイギリスは俯き暫く動かない。探索者がイギリスの様子を気にした場合は、以下の描写をする。

アーサーの目からは大粒の涙がはらはらと流れ出ていた。それは壊れた蛇口のように止まることはない。
彼はスーツの袖で乱雑に涙を拭うと「すまない」と貴方達に言葉を漏らす。

リックの遺体を調べる

<目星>成功でリックの荷物を発見する。詳細はリックの荷物へ。

イギリスの正体

ようやく静寂が訪れたメアリー教会の墓地に再びけたたましい音が鳴り響く。パトカーのサイレンだ。

  • イギリス登場条件を満たしている場合は、騒ぎを聞きつけた周辺住民の通報によって警察がやってくる。
  • 満たしていない場合も、イギリスは探索者たちから一歩遅れて、スコットランドヤード(ロンドン警視庁)とSASを引き連れてやってくる。
  • 政府主導だとSAS辺りが出てくんのかなぁって漠然と考えただけでイギリスの軍事情報には詳しくないので、他特殊部隊や組織でも別に構わない。他に適任あったら教えてほしい。

登場条件を満たしている場合の描写

墓地にスコットランドヤード(警察官)が集まっている。

イギリスは自分が場を収めるので任せてほしい、混乱を避けるためリックは人目につかないよう隠しておいて欲しいと探索者に伝える。
探索者が逃げようとした場合はイギリスで引き止めること。

墓地には複数人の警棒を所持したスコットランドヤードの警察官が集まっていた。

アーサーは臆することもなく両腕を頭上に掲げ歩み出ると、 「抵抗するつもりはない!」と声を上げながらどこかに電話をしだす。ある程度電話の向こうの相手と言葉を交わすと、携帯を前に突き出し更に声を上げた。
「我々の保護を要求する!サー・バーナビー・ハンフリーと電話が繋がっている!」
アーサーが発した人物の名前を聞いて警察官たちの顔色が変わる。驚愕の声を上げている警察官たちの話を聞くに、相手はコミッショナー――警視総監のようだ。

困惑色を隠せない警官たちに反し、アーサーは極めて冷静に指示を出していく。ややあって探索者たちの元に駆け寄ってきて、力強く言葉を発する。
「もう大丈夫だ。今車を手配した。後の処理は政府に任せろ。」

満たしていない場合の描写

墓地には武装をしたスコットランドヤードの警察官と軍人らしき者たちが集まっていた。
だが、注目するべきは、その先頭に立っている人物だ。アーサー・カークランド、謎多き青年が実に堂々と立っていたのだ。

アーサーは探索者たちがこの場にいることに驚くが、事情を聞き出すと一言二言周りの者に指示を出し、探索者たちの元に駆け寄ってくる。
「………すまない。一歩遅れてしまったようだな。今車を手配した。後の処理は政府に任せろ。」

共通処理

イギリスは大事にならないようにメアリー教会を封鎖し、後の処理は政府指揮の元行うよう以下の指示をする。

  • リチャードが生還してた場合の、治療をするための病院の手配。
  • 負傷者がいた場合の病院の手配。
  • 死体があった場合、死体の処理。

ここまでくれば、イギリスは自分の正体を隠すことはない。探索者が正体や年齢、職業を尋ねた場合は素直に答える。

「俺の本当の名はイギリス。グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国そのものだ。」

  • 探索者が信じない場合は、スーザンに聞いてみるといいと答える。
  • 食屍鬼やモルディギアンについては詳しいことはわからない。
  • リックと連絡を取っていたAに対してはニャルラトホテプという邪悪な存在だと告げる。昔にあったことがあると伝えていい。

「今回の事件については一切外に漏れることはないから安心してほしい。お前たちやフォースター家の暮らしも今までと変わることはない。」

「ただ、お前たちにも他言しないことを約束してもらうことになる。………いいだろうか。」

リックが亡くなっていた場合、イギリスは以下のように話す。

「リチャードのことだが………死亡報告はヤードから二人へ伝える。」
「………何があったかはお前たちの口から話したほうがいいだろう。どこまで伝えるかはお前たちに任せる。」

ブリジットたちへの報告

イギリス登場条件を満たした上でリックが死亡した場合、ブリジットとスーザンはリックが亡くなったことだけスコットランドヤード(ロンドン警視庁)から聞いている。
イギリス登場条件を満たしてない場合、ブリジットに報告するよう誘導自体はしてもいい。

ブリジットに遺書を見せた場合は、グッドエンドへ。
ブリジットに遺書を見せなかった場合は、バッドエンドへ。

モルディギアン招来

  • 呼び出しのタイミングは、探索者側に任される。
  • ただし、食屍鬼との戦闘中、探索者側が生還するのが難しそうな場合には、KP側から促してもいい。強要はしないこと。

招来の条件

  • 食屍鬼の洞窟付近、建設から200年以上経つ古い墓穴(今回は墓地と雑木林にいれば招来可能)
  • 赤い石のついた指輪を着用した状態で呪文の詠唱(1Rの消費、他行動不可能)
  • 招来の初期値5%(任意のMP1Pごとに招来の成功率は5%上昇)

リックに関して

リックは復活の呪文を所持しているため、どのルートでもモルディギアンの飲み込み攻撃の対象となる。

  • 同じフィールドにいる場合なので、墓地と雑木林別々の場所にいる場合は回避できる。
  • 同じフィールドにいても呪文詠唱者と食屍鬼たちから視認できない状況(リック生存ルートで先に食屍鬼と戦う場合など)では、リックの<幸運>ロールが成功すればモルディギアンに気づかれず回避できる。

イギリスが所持している姿現わし(Apparition)/姿くらまし(Disapparition)を使用すればモルディギアンからリック(及びマーシャの遺体)と共に墓地⇔雑木林へ瞬時に移動することが可能。

  • 探索者側からリックたちを隠したいと申し出があった際にイギリス自ら提案できる。
  • リックとマーシャの遺体をイギリスの元に集めた上で、呪文を唱えるのに1R必要である。

リックが飲み込まれる際、リックの持ち物を探索者たちが持っていない場合、探索者全員に<幸運>判定をする。

  • <幸運>に成功した者だけ<聞き耳>をすることができ、成功すると何かが落ちた音が聞こえる。
  • 続けて<聞き耳>に成功した者は<目星>に成功すると、付近の地面に銀色の懐中時計と薄汚れた皮の袋を発見することができる。

招来の描写

手にしている明かりどころか、こちらまで届いていたロンドンの街の明かりも掻き消え、冬の寒さとは違う、腹の底からにじり寄るような恐ろしい冷気が全身を包む。
――辺りに死の臭気と静寂が満ち、漆黒の闇の中うぞうぞと巨大な影が現れた。
それは暗黒の永劫に渦巻くエネルギーのように、蠢き、回転し、刻一刻と変化する。目のない頭部と四肢のない巨人のような姿を取ったかと思うと、炎のように跳ね、探索者たちを見据えた。

生ける屍と暗黒の塊であるモルディギアンを目にした探索者は、1D8/1D20の正気度喪失

目のないはずの影に睨まれたように感じたと思うと、あなたの視界は何も映さなくなる。光源は何もない筈なのに、突き刺すほどの痛みを伴う奇妙な眩しさがその影にはあったのだ。
視界が奪われた今、あなたが知覚できるのは台風のような轟音と、許しを請う食屍鬼の断末魔だけだった。

モルディギアンは悪意のある存在ではない。死者と気分を損ねた対象(今回は食屍鬼とリック)のみ、飲み込み攻撃によって衣服などの無機物以外をしゃぶりつくし、身体を溶かす。

ENDING

ベストエンド

  • リックの食屍鬼化を回避した上で、リックが生還した場合到達。

病院にて

自分の愚かな考えを猛省したリックは命の恩人である探索者たちに心から感謝し、何度も礼を述べた。
彼のこれからの人生は決して楽なものではないだろう。何しろ、屍肉を欲する悍ましい呪いが解けてもリックの姿が戻ることはなかったのだ。

イギリスの力添えにより、仕事も続けることができるが、外に出ることはできないため、難病を患ったことに表向きはなっている。

ロストした探索者がいた場合、リックはひどく自分を責め、何度も何度も探索者たちや自分の家族に謝る。
しかし、自暴自棄になっては今回の惨劇の二の舞いだと、生き残った自分たちが残りの時間を精一杯、悔いのないように過ごすことが天に上った探索者やマーシャが望んでいることだろうと考えを改める。

一ヶ月後

フォースター家の面々も既にイギリスの正体を知っている。

あの恐ろしい霧が立ち込める夜から一ヶ月余りが経ったある日、無事退院をしたリックの快気祝いとしてフォースター家でお茶会を開くこととなった。お茶会に招待されたのは探索者たち、そしてアーサー・カークランド改めイギリスだ。
案内されたコンサバトリーで、フォースター家の面々は笑顔で迎え入れてくれて、探索者たちとイギリスにこちらが恐縮するほど次々と感謝の言葉を口にしてくれた。
そして、探索者たちに「遅くなってすまないが、みんなにお礼がしたかったんだ。」とリックは言い、海外旅行をプレゼントしてくれる。

行き先は好きに決めていい。やったね!キャンペーンができるよ!
このプレゼントについてはリックは以下のように話す。

「僕はもう外に出ることは叶わないだろう。でも、もし、もしみんながよければ………ロンドンにやってきた時に、些細なことでいいんだ、僕はこの家に必ずいるからイギリスや世界中の色んなことの話をしに来てくれたらとても嬉しい。」
そう言ってリックは優しく笑った。確かに彼の姿形は変わってしまった。だが、くしゃりと目元に皺を寄せるその笑い方は何ら変わりない、自分たちがよく知るリックだと思うでしょう。

イギリスからも探索者たちへプレゼントが贈られる。
イギリスのプレゼントの描写を行う。

お茶会は騒がしくも楽しく過ぎていく。楽しそうに声を上げて笑うリックのポケットの中には、大事そうに銀色の懐中時計が――愛する妻と共に笑い合っている写真が収まっていた。

馬鹿め、これで終わりだと思ったのか?

グッドエンド

リックの遺書を読み始めたブリジットは、最初は静かに文字を追っていたが、次第に瞳には涙が浮かび、頬に筋を引き落ちていった。
ブリジットから遺書を受け取ったスーザンもハンカチを目に押し当てて、悲しみの声を漏らす。
暫く泣いていた二人は、顔を上げるとしっかりと君たちを見据えた。
泣き腫らした目で探索者たちに何度もお礼を言い、最後には「リチャードは最後にあなた達に会えてきっと救われた。リチャードは神の元に、愛するマーシャの傍へ向かったのだと信じている。」と笑顔を見せてくれた。

数週間後

あの恐ろしい一夜から数週間が経とうとしている日曜日の午後のことである。リックの葬儀の際に既にお礼は受け取っていたが、改めてお礼がしたいとの二人の強い要望もあり、再びフォースター家へと訪れることとなった。
どうやらお茶会をするようで、探索者たちの他にアーサー・カークランド改めイギリスも招待されているようだ。

ちなみにリックの遺体は火葬されている。マーシャの亡骸の残骸(リックの食べ残し)と共に灰にし、フォースター家の庭に埋葬されている。(モルディギアンにリックが吸い込まれた場合は、マーシャの亡骸のみ。)
また、ブリジットも既にイギリスの正体を知っている。

案内されたコンサバトリーで、フォースター家の面々は笑顔で迎え入れてくれて、探索者たちとイギリスにこちらが恐縮するほど次々と感謝の言葉を口にしてくれた。
そして、探索者たちに二人は海外旅行をプレゼントしてくれる。

イギリスからも探索者たちへプレゼントが贈られる。
イギリスのプレゼントの描写を行う。

お茶会は騒がしくも楽しく過ぎていく。そんな中、もう動くことのない銀時計の写真の中から、リックとマーシャは温かく優しい眼差しで一同を見守るのだった。

馬鹿め、これで終わりだと思ったのか?

バッドエンド

  • リックが死亡した上で、ブリジットとスーザンにリックの遺書を見せなかった場合到達。

探索者の報告自体には2人は深く感謝し、礼を言う。

危険を冒しながらもリックの最期について教えてくれた探索者たちに、ブリジットとスーザンは深く感謝しお礼の言葉を述べる。しかし、ブリジットの声は段々と細く震えていき、とうとう堪えきれず泣き出してしまう。スーザンはこのまま話のできそうにないブリジットの様子を見て、詫びながらお礼も含めてまた改めて話をしたいと申し出る。
リックの葬儀の準備もあるだろうと、探索者たちもスーザンの言葉に快く了承し、二人の様子に後ろ髪を引かれながらもフォースター家へ後にする。

ブリジットの失踪

リックの葬儀も終わり落ち着いた頃、再びフォースター家に集まる。(スーザンはショックで体調を崩し、床に伏せている。)

リックの葬儀も終わり、落ち着いた頃再びフォースター家へ訪れることとなった。出迎えてくれたブリジットは、ショックが抜けていないのかとても疲れ果てた顔をしていた。
彼女からお礼を受け取り心配の余り暫く話し込むと、どうやら彼女の心労は相当のようで、ここ最近はカウンセリングを受けているらしい。

帰り際、ブリジットの元を訪れてきた男性と鉢合う。ブリジットは彼のことをカウンセリングをしてもらっているメンタルセラピストだと紹介する。男はイエッタ・ホプナールと名乗り、丁度近くに寄ったので様子を見に来たのだと話す。暗く深い闇のような深い瞳が印象的な男性だった。
――数日後、ブリジットが失踪し、行方が分からぬままこの事件は幕を閉じる。

一人残されたスーザンは認知症の進行がひどく、施設で暮らすこととなる。

強制バッドエンド

  • 2日目の夜に雑木林に行かなかった場合などに到達。

イギリス登場条件を満たしていた場合、イギリスはリックにモルディギアン招来の呪文を唱えてもらい食屍鬼を殲滅する。その際リックも飲み込まれる。イギリスは瀕死の状態で警察に発見される。

2日目の夜を過ぎてしまうと、探索者がどこを探しても何も見つかるものはない。
強制的に日付を進め、エンディングの描写をする。

次の日、メアリー教会で男性一人が瀕死の状態で発見されたニュースを探索者たちは目にする。
メアリー教会は現在封鎖されているようだ。

探索者たちはその後も必死に方方を探すが、リックの姿どころか情報さえも手に入れることができなくなってしまった。
ブリジットも警察に失踪届を提出するが、リックが見つかることはなく、ただただ月日が過ぎていく。
――その後、ブリジットが突如失踪し、行方が分からぬままこの事件は幕を閉じる。

イギリスのプレゼント

  • ベストエンド、グッドエンドのみ発生するイベント

イギリスが探索者たちに話しかけてくる。

歯切れの悪いその言葉を要約すると、イギリスもまた探索者たちにプレゼントを渡したいらしい。
イギリスにそれぞれ渡された黒いケースの中には、星を模した勲章が光り輝いていた。
――大英帝国勲章、イギリスに対して貢献があった者に対して贈られる名誉ある勲章であり、星章は大英帝国勲章の中でも最高ランク、ナイト・グランド・クロスの証だ。
「勲章なんてのは所詮飾りだ。人によっては何の価値もない。ただ、俺はお前たちの友情と勇気を讃えたいと思う。正式なものではないから、記録には残せなくて申し訳ないが………。お、俺が勝手に用意したものだし、いらなければべつにいいんだが。」

受け取ってくれた探索者に対し、イギリスは気恥ずかしそうに「ありがとう」と告げる。

スコーン

  • ベストエンド、グッドエンドのみ発生するイベント
  • 省略しても良い

お茶会はつつがなく進んでいたように思えた。いや、最初から兆候はあったのだ。
ブリジットが作ったサンドイッチは、きゅうりやピクルスが挟まっており、さっぱりとしていてアフタヌーンティーのスタートには最適でとても美味だ。イギリス自ら淹れてくれた紅茶も、今まで飲んだどの紅茶よりも香り高く素晴らしい味だと思う。だがしかし、探索者たちは先程からあることが気になって仕方がない。
――ティースタンドの2段目に、黒い楕円形をした得体の知れない物体が鎮座しているのだ。

アーサーのスコーン
おいしいスコーン

<知識>または<アイデア>ロールに成功すると、ティースタンドの2段目にあることからこの物体はもしかしたらスコーンかもしれないと思いつく。

スーザンとブリジットはこの時何とも言えない苦い顔をしている。
リックが生存している場合、リックはとても驚いた顔をしている。

  • スーザンはイギリスの腕前を知っていたのだが、40年前のことだし、イギリスも力を貸してくれた手前了承した結果がこのザマである。

この物体に対して質問を投げかけると、イギリスのツンデレが発動する。

アーサーの
スコーン
冒涜的すぎる味がする。食したものはあまりのマズさにより一時的発狂から我に返る。SAN値回復などはない。
  • メシウマ国出身の探索者はHP-2
  • その他の国出身者はHP-1
  • イギリス出身の探索者は<幸運>ロールをする。<幸運>ロールに成功した場合は、親の食育が素晴らしかったのでしょう、正常な味覚を持っているのでHP-1
  • フォースター家の面々も味覚が正常なためHP-1

報酬

リチャード・フォースターを助ける1D10
リチャード・フォースターを倒す1D6
食屍鬼の集団を倒す、追い払う1D6
モルディギアンと遭遇1D6
ブリジットまたはスーザンに遺書を渡す+1
イギリスと協力して事件を解決する(登場条件の達成)+1

シナリオの背景

3ヶ月ほど前、リチャード・フォースターは長年付き合っていた恋人マーシャ・パッカーと結婚をします。探索者たちも結婚式に新郎側の友人として招待され、二人は幸せの絶頂を迎えていました。
しかし、1か月後マーシャは不慮の交通事故で亡くなってしまいます。リチャードの落ち込みようはひどいものでした。マーシャを思い出してしまうため探索者たちとの連絡を断ち、家族とも極力顔を合わさないようにしていました。

ある日、オカルトサイトで交流を持っていたAに心の内を吐露し、Aはリチャードに食屍鬼写本と食屍鬼教典儀の一部のコピーを与えます。リチャードはそこに書かれてあった死者の復活の呪文を知り、マーシャを生き返らせることを考え始めます。研究を開始し、どうにかマーシャの遺体を掘り起こせないかと画策をはじめました。
しかし、食屍鬼写本のコピーには「屍肉食らいの生」という呪いがかかっていました。日々屍肉に対する枯渇感に襲われ、その欲求に負けた末には、食屍鬼になってしまうという恐ろしいものです。知らぬ間に呪いにかかってしまったリチャードも、冒涜的な欲求に耐えながら夜な夜なメアリー教会の墓地へ赴きます。

ある日の夜、リチャードは教会の裏手にある雑木林からドリームランドからやってきた食屍鬼を目撃します。暫くは様子を見ていたリチャードでしたが、食屍鬼たちはマーシャの墓を掘り起こし、遺体を雑木林の奥へと連れ去ってしまいます。リチャードは慌てて後を追いますが、逆に食屍鬼たちに見つかってしまいます。
食屍鬼たちは呪いにかかっているリチャードを仲間だと思いますが、復活の呪文を所持していることに神官が気づき、リチャードは拘束されてしまいます。その際に自分に掛かっている呪いの正体を、食屍鬼たちの口から告げられ、リチャードはAから貰った本のコピーが原因であると思い当たります。リチャードは自分の行おうとしていたことに後悔し、せめてマーシャの遺体を墓に戻そうと食屍鬼の住処から脱出を試みます。その際に呪いを解く魔石も手に入れるが、自分では呪いを解けないことを察し、屍肉への枯渇感と戦いながらマーシャの遺体と共に夜の雑木林を彷徨うのでした。

リチャードを連れ去った食屍鬼たちはドリームランドでモルディギアンを信仰している教団の一員です。彼らはイギリスで屍肉を調達する役目を負っていましたが、イギリスでは土地不足などから火葬が7割を占めており、神に捧げる供物の量が激減していました。教団内での立場やモルディギアンからも心証も悪くなっていました。「お前ら次ポカしたらクビ(物理)な」状態だったのです。そんな中、仲間だと思い引き入れたリチャードが、禁呪を所持していた上、魔石と生贄までをも持ち出し逃走してしまいました。これ以上失態は重ねられないと、食屍鬼たちはリチャードを探しだし殺そうと躍起になるのでした。

時は戻り、イギリスは探索者がブリジットから依頼を受けた日に電話を受けます。相手は名も名乗らず、イギリスは最初はただのイタズラ電話だと思いますが、相手の「1930年代のアメリカでのことを覚えていないのかい?」という言葉に思い当たる節がありました。イギリスは1930年頃アメリカで何やかんやあって人の姿をとったニャルラトホテプに会ったことがあったのです。世界大恐慌の裏にニャルラトホテプがいたかもしれません。きちんと考えてないです。ニャルラトホテプは長い時を生きる国の化身自体にはあまり興味はありませんが、死んだ者の復活という禁忌を侵す人間と引きあわせたらどうなるかと思い連絡を取ったのです。
ニャルラトホテプはイギリスに、有名オカルト作家であるリチャードと接触し「人の生への欲は実に愚かしい」「君も楽しめる最高のゲームを用意した」などと告げ通話を切ります。リチャード自身に会ったことはないイギリスですが、昔リチャードの祖父母であるヘンリーとスーザンは知り合いのため急いでフォースター家へ向かいます。

最後に

こんなくっそ長い改変シナリオを最後まで読んでくださり誠にありがとうございます。
わたしが細かく設定などを決めないとキーパリングができないので、纏めたらこんな長さになってしまいました。余りにも長い。

「面白いシナリオ見つけた!KPしたい!」
「せっかく舞台がイギリスだからイギリス出そう!」
「ヘタキャラが一般人と接触する設定だいすき!イギリスはNPCにして、みんなには普通にPC作ってもらおう!」
「みんな~、このシナリオ回すからネタバレ見ないでね!」
と言ったのが、確か2015年のはじめごろ。途中、放棄した期間もありましたが、形にするまで実に2年掛かりました。

あずま様作の元シナリオにイベントを足したり、登場人物を足したり、かなり捏ね繰り回したのでキーパリング難易度はかなり高めだと思います。
ボイスセッションで2日間に分けてセッションをしたので、そもそも余り野良でやったりなどには向かないシナリオですが…。

身内間で2回シナリオを回したのですが、改変した本人もイベント管理しきれず酷いものでした。何回「あ、ごめん忘れてた」と流れを止めたことか…。
本当は皮肉な台詞を言うかっこいいイギリスをRPしたかったんですが、それも叶わず自身のイギリスRPにSANチェックが入る始末でした。
わたしはこのシナリオを他人が回してる様子を見たい。

元シナリオでは、リックが生存するエンドはないのですが、自国民が死んでしまうとイギリスが泣くなぁ…と思い生存エンドを無理やり足しました。
ハッピーエンド到達には運命のいたずらも必要、ということで、リック食屍鬼化回避のための岩を動かすイベントと、呪いを解く魔石を使用するためにイギリスの登場がベストエンドへの到達条件となっています。
簡単には到達できないように設定したはずなのですが、身内卓では2回ともベストエンドに到達したので、イギリスの登場条件や岩を動かすダイス目標値を厳しくしてもいいかもしれません。(わたしのキーパリングが割と誘導強めなのも原因だとは思いますが)

誤字やルールの間違えなどご指摘がありましたら、コメントなどで教えてくださいますと幸いです。

最後に、公開を快諾してくださったあずま様にこの場を借りて再度感謝申し上げます。
拙いキーパリングなのに長い間セッションに付き合ってくれた身内卓のみんなもありがとう!